善玉コレステロールとは?~HDLコレステロールが低い原因と増やす方法~

コレステロール健康診断の血液検査の結果をみると、HDL値という項目があると思います。
これが善玉(HDL)コレステロールです。

善玉コレステロールは、増えすぎた悪玉(LDL)コレステロールを回収する役割があります。

 

では、善玉コレステロールが低いと、何が問題なのでしょうか。また、その原因は何でしょうか。

ここでは、善玉コレステロールが低い原因と増やす方法について解説をしていきます。

善玉コレステロールが低いと何が起こる?

では、善玉コレステロールが低いと、何が起こるのでしょうか。

 

 

 

 

善玉コレステロールが低いほど、悪玉コレステロールは多くなる

冒頭にもお伝えしたように、善玉コレステロールは増えすぎた悪玉コレステロールを回収する役割を持っています。しかし、善玉コレステロールが低いと、悪玉コレステロールを回収しきれなくなります。

そのため、回収されなくなった悪玉コレステロールは血液内にどんどん増えてしまうことになります。

悪玉コレステロールが多いほど、動脈硬化が起こりやすい

悪玉コレステロールが血液内に多くなると、血液がドロドロした状態となり血液の流れが悪くなってきます。そして、血管壁に溜まっていき、血管内を詰まらせたり、血栓を作ったりしてしまいます。
さらに、悪玉コレステロールが酸化することで、酸化LDLに変化し、血管を傷つけることや、血管の柔軟性を失うことになります。

この状態を動脈硬化と言います。

つまり、悪玉コレステロールが多いほど、動脈硬化が起こりやすくなってしまうのです。

善玉コレステロールの基準値はどれくらい?

では、善玉コレステロールはどれくらいあると良いのでしょうか。善玉コレステロールの基準値を確認していきましょう。

 

 

 

善玉コレステロールの基準値は40~119mg/dl

食事療法を開始するべき総コレステロール値の目安

善玉コレステロール(HDL値)の基準値は40~119mg/dlとなっています。HDL値が40mg/dl未満となると、異常値となります。

 

 

 

数値(mg/dl) 評価
40〜119 問題なし
35〜39 軽度の異常
30〜34 中度の異常
30未満 高度の異常

以前の基準値は男性が40~86mg/dl、女性が40~99mg/dlと、女性のほうが基準値は高めでしたが、近年の調査では健康を害するほどの男女差はないという見解になり、2012年4月に統一されました。

HDL値は、35mg/dl以下になると、冠動脈疾患合併率が急激に上昇します。

HDL値60mg/dl以上の人に比べて、HDL値30mg/dl未満の人は、脳卒中の危険度が3倍、HDL値34mg/dl以下の人は、50mg/dl以上の人より、2倍以上も心筋梗塞になりやすいというデータがあります。

また、HDL値が20mg/dl未満など、極端に数値が低い場合には、遺伝性の疾患、または重度の肝臓・腎臓疾患が疑われます。

女性の方が善玉コレステロールはやや高め

善玉コレステロールは、比較的に女性の方がやや高めのことが多いようです。これは、女性ホルモンの「エストロゲン」によるものです。

 

 

 

エストロゲンは、コレステロールに対して良い働きをするのです。

  • 血液の流れを改善する
  • 悪玉コレステロールを分解・排泄する
  • 善玉コレステロールを増やす性質がある

こうした理由により、女性は男性よりも善玉コレステロールが多いとされています。そのため、動脈硬化のリスクがとても低くなっています。

しかし、閉経後は急激に男性を超えて動脈硬化のリスクが高くなります。男性は40代から60代にかけて、女性は40代後半から50代にかけてLDLコレステロール値が増加し、70代以降はLDLコレステロール値が減少する傾向にあります。

総コレステロールの基準値は140~199mg/dl

では、総コレステロールの基準値についても見ていきましょう。

<日本人間ドック学会による総コレステロールの基準値>

総コレステロール値(mg/dl)
異常 139以下
基準範囲 140~199
要注意 200~259
異常 260以上

総コレステロールの基準値は、140~199mg/dlとなっています。

・総コレステロール値が高い場合
家族性コレステロール血症・糖尿病・動脈硬化症などのリスクが高まる

・総コレステロール値が低い場合
甲状腺機能亢進症・肝硬変・栄養障害・脳卒中などのリスクが高まる

善玉コレステロールが低い場合、病気のサインかも?

善玉コレステロールが低い場合には、病気のサインかもしれません。

 

 

 

 

低HDLコレステロール血症

低HDLコレステロール血症とは、正確には病名ではなく、HDL値が低いことによって発症する病気の総称です。

低HDLコレステロール血症の場合には、以下の病気が疑われます。

  • メタボリックシンドローム
  • 動脈硬化
  • 虚血性心疾患
  • 糖尿病
  • 家族性低HDL血症
  • 家族性LCAT欠損症
  • アポA-1欠損症

低HDLコレステロール血症には、遺伝などで発生する原発性と、ホルモン異常・腎臓や肝臓の病気などが原因で発症する続発性があります。

<原発性、家族性低HDLコレステロール血症>

  • アポA1血症
  • 魚眼病
  • LPL欠損症
・レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症(家族性LCAT欠損症)

LCATは、細胞からHDLによって引き抜かれた遊離コレステロールをエステル化して、コレステロールエステルとする酵素です。

LCATが遺伝子異常によって欠損や機能異常を起こすと、血液中のHDLコレステロールが著しく減少してしまうとともに、余分なコレステロールが腎臓や目などに蓄積することにより、腎機能障害や角膜混濁、溶血性貧血などの障害を起こします。

・タンジール病(難病指定番号261)

ATP binding cassette transporter A1(ABCA1)は、細胞からコレステロールをHDLが引き抜く際に必要なタンパク質です。遺伝子異常によって欠損や機能異常が生じるとHDLコレステロールが生成されなくなります。

細胞からのコレステロール搬出が障害され、コレステロールが骨髄、肝、脾、リンパ節、皮膚、大腸粘膜、平滑筋などに泡沫細胞が認められ、その結果種々の症状をきたします。

<続発性低HDLコレステロール血症>

  • 高トリグリセライド血症
  • 慢性腎不全(透析患者)
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 肝硬変症
  • 悪性腫瘍

善玉コレステロールが高すぎるのも問題アリ?

それは間違い

善玉コレステロールは、高ければ高いほど良いと思われがちですが、実は高すぎるのも問題があります。

 

 

 

高HDLコレステロール血症

高HDLコレステロール血症は、HDLコレステロール値が100mg/dlを超える症状で、日本人の1,000人に1人が発症するとされています。

高コレステロール血症には、原発性・家族性と、続発性があります。

<原発性、家族性高HDLコレステロール血症>

  • コレステリルエステル転送蛋白欠損症(CETP欠損症)
  • 家族性高αリポ蛋白血症(長寿症候群)

<続発性高HDLコレステロール血症>

  • 原発性胆汁性肝硬変
  • 閉塞性肺疾患

HDLコレステロールは、過剰飲酒やエストロゲン、インスリン、抗てんかん薬などの使用によって上がることもあります。また、遺伝的にHDL値が高い「CETP欠損症」の場合には、逆に冠動脈疾患になりやすいとも言われています。

原発性胆汁性肝硬変によって、胆汁の循環が崩れると、回収されたコレステロールを胆汁中に排出できなくなってしまいます。

高HDLコレステロール血症の場合、精密検査が必要となります。CETPやHTGL(活性、蛋白量)を測定する必要があるのです。

・原発性胆汁性肝硬変の場合には、CETPが高値でもあるにかかわらず、HDL値が高値を示します。

・長期の飲酒は、CETPの活性低下になることがあり、HDL値が上昇することがあります。そのため、HDLに対する飲酒の影響を調べるために、2週間程度禁酒をして再検査を行います。

・CETPに異常がある場合には、HDL粒子が大きくなります。これは、リポ蛋白電気泳動でHDL粒子の大きさを確認します。

善玉コレステロール値が低い原因とは?

善玉コレステロール値が低い原因は、生活習慣にあります。

  • 喫煙
  • 肥満
  • 運動不足
  • 飽和脂肪酸(動物性の脂肪など)
  • 薬剤、ホルモン剤の投与

このほかに、遺伝性の病気という可能性もあります。

中性脂肪が多いほど、善玉コレステロールは減少

中性脂肪が多いほど、善玉コレステロールは減少します。

中性脂肪が増加すると、同時に悪玉コレステロールも増加します。悪玉コレステロールと善玉コレステロールを構成するアポたんぱく質は同じです。

そのため、中性脂肪と同時に悪玉コレステロールが増加することによって、善玉コレステロールを作るアポたんぱく質が減少してしまうため、善玉コレステロールも減ってしまうことになるのです。

運動不足による肥満が、善玉コレステロールを殺す

前途した通り、中性脂肪が増えると善玉コレステロールが減ります。そのため、運動不足や食べ過ぎによって中性脂肪が増える、つまり肥満は、善玉コレステロールを減らしてしまう原因となるのです。

 

善玉コレステロールを減らす脂、飽和脂肪酸

悪玉コレステロール値の高い人は、コレステロールの高い食品を控えましょう

飽和脂肪酸とは、動物性脂肪に多く含まれる、常温で溶けない脂のことです。飽和脂肪酸を摂りすぎると、悪玉コレステロールを増やしてしまう原因となります。

悪玉コレステロールが増えることで、善玉コレステロールはどんどん消費されることになりますので、善玉コレステロールが減少してしまいます。

ニコチンとアルコールは、善玉コレステロールの敵

喫煙は血管を収縮し、動脈硬化を促進させるだけでなく、善玉コレステロールも減らしてしまいます。

また、善玉コレステロールは、アルコールの摂取量の増加に伴って増加します。これは、善玉コレステロールの合成・分泌の亢進、分解の低下などが考えられます。

しかし、アルコールの飲み過ぎは、中性脂肪が増加するため逆効果となります。

過度のアルコール摂取は、脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出を促進させるとともに、肝臓のアルコール代謝が亢進し、それに伴って酸化されない脂肪酸を増加させるため、結果として肝細胞内での脂肪酸からのトリグリセリドの過剰合成が引き起こされます。

薬剤・ホルモン剤の副作用が原因になるケース

善玉コレステロールを増やすサプリメント副腎皮質ステロイド薬やピル(経口避妊薬)の使用によって、善玉コレステロール値が下がることもあります。

 

 

 

善玉コレステロールを増やす方法は、ずばりダイエット!

善玉コレステロールを増やす方法は、中性脂肪を減らすこと、つまりダイエットをすることです。
まずは、食生活の見直しから見ていきましょう。

 

 

肥満を解消する、食べ方の改善ポイント

肥満の方は、早食いの傾向があります。飲み込むように食事をしている方は要注意です。
肥満を解消する食べ方の改善ポイントは、次の3つです。

  • 食べ過ぎないこと。腹八分目まで!
  • よく噛んでゆっくり食べること。
  • 就寝前は食べない。

食事は、ゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。1口につき、30回噛むことを目安にしてください。よく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激されて、自然と腹八分目で食事を終えることができます。

また、就寝前などに食事をするのは、中性脂肪を増やす原因となりますので、寝る前の2時間は避けるようにしましょう。

善玉コレステロールを増やしてくれる食べ物

多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)

食事の内容も、善玉コレステロールを増やすものを積極的に摂ることがおすすめです。

善玉コレステロールを増やす食べ物には、次のようなものがあります。

 

 

  • 青魚(さんま・さば・いわしなど)
  • 大豆食品(豆腐・納豆など)
  • 海藻類(ひじき・めかぶ・わかめなど)
  • きのこ類(しめじ・しいたけ・エリンギなど)
  • 不飽和脂肪酸の油
  • ナッツ類(くるみ・アーモンド・カシューナッツなど)
  • オクラ
  • たまねぎ
  • トマト
  • チョコレート
  • コーヒー・赤ワイン

チョコレートやコーヒー・ワインなどは、摂り過ぎないように注意することも大切です。また、不飽和脂肪酸の脂・ナッツ類も善玉コレステロールを増やす食品ですが、カロリーが高いので、摂り過ぎないようにしましょう。

また、食事療法だけで、善玉コレステロールの数値が10も20も増えるものではありません。内臓脂肪や中性脂肪を溜めないように、バランスの良い食事を心がけて、食べ過ぎないことも大切です。

適度な飲酒は善玉コレステロールにとってプラス

適量の飲酒(男性で1日日本酒換算1合ぐらい)であれば、血圧を上げずにHDLコレステロールが増加します。

1日あたり男性は純アルコールで20g(日本酒換算1合程度)、女性はその半量までが、厚労省の提唱する「節度ある適度な飲酒量」の目安とされています。

善玉コレステロールを増やす運動、有酸素運動

運動をすることで、善玉コレステロールは増加します。運動といっても、筋トレのような無酸素運動ではなく、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。

 

 

 

有酸素運動は1日30分、週3日からでOK

有酸素運動は、1日30分~1時間程度を目安に行いましょう。中性脂肪の燃焼が始まるのは、運動開始から20~30分後です。効果的に中性脂肪を減らすためにも、1日30分以上、週に2~3時間程度が、理想的な運動量です。

また、運動は毎日行うのが理想です。難しい場合には、週3日以上でも効果が期待できます。しかし、運動の感覚を3日以上開けてしまうと、せっかくの運動効果も減少してしまいますので、注意しましょう。

ただの徒歩をウォーキングに変えるコツ

コレステロールを下げる運動

せっかく運動を行うのですから、効果的に行いたいですね。歩くといっても、ウォーキングにはコツあります。

ただの徒歩を効果的なウォーキングに変えるには、歩幅をいつもより大きくして、背筋を伸ばし、目線を落とさずに、腕をしっかりと振りましょう。

<正しいウォーキングの歩き方>

  • 顎を引き、視線は5~6m前を見るように
  • 肩の力を抜いて、胸を張るように
  • 膝から下を大きく振りだして前進
  • 足先は進行方向へ向け、踵から着地して、つま先でしっかり地面を蹴るように
  • 腕はなるべく大きく振るように
  • お尻を引き締めて、お腹を突き出さないように
  • 歩幅は大きく、リズミカルに歩くように

厚生労働省のデータによると、1日に歩く回数が多い人ほど、HDLコレステロール値が高いようです。

また、水中ウォーキングもおすすめです。水中ウォーキングは、水の抵抗があるため、通常の歩行に比べると消費カロリーが高まります。また、浮力が働きますので、関節への負担が抑えられ、膝などが痛む人でも安心して行うことができます。

薬に頼らず、自力で善玉コレステロールを増やしましょう!

コレステロールを下げる薬

食事療法と運動療法を実践しても、どうしても善玉コレステロールが増えない場合には、薬を処方することもあります。

 

 

 

薬物療法はハイリスクハイリターン

善玉コレステロールを増やす薬の代表は、フィブラート系の薬剤です。

現在、主に使われているのは、ベザトール(ベザフィブラート)とリピディル・リパンチル(フェノフィブラート)です。今のところ、劇的に善玉コレステロールを増やす薬はないため、生活習慣を改善した後の補助的なものと考えたほうが良いでしょう。

新常識「non HDLコレステロール」

「non HDLコレステロール」とは、総コレステロール値から、HDLコレステロール値を引いた数値です。

・総コレステロール値-HDLコレステロール値=non HDLコレステロール

これにより、動脈硬化を予測しやすくなると考えられるため、治療を早めに開始することができます。

善玉と悪玉のバランスも重要、LH比は2.0以下

コレステロール

また、善玉コレステロールと悪玉コレステロールのバランスも大切です。

悪玉コレステロールが高めでも、善玉コレステロールも高めなのであれば、血管内の不要なコレステロールも回収することができます。

悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率のことを「LH比」と言います。

LH比は、次の計算式で算出します。

・LDLコレステロール÷HDLコレステロール=LDL/ HDL比

LH比は、2.0以下が目安となります。LH比が2.0を超える場合には、バランスが崩れている可能性がありますので、食生活の見直しや、運動療法などを行うようにしましょう。

 

 

 

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